独特な食感とほろ苦さを持つ山菜、蕨。
灰汁を抜いて水にさらす手間がありますが、慣れてしまえば意外と簡単です。
数年前、都心から男子中学生たちが修学旅行で農村体験に来ました。
都会っ子たちに尋ねたところ、山菜など食べたことがない、とのこと。
せっかくなので蕨を夕飯に出しました。
結果、ほとんどの子の口合わなかったのですが、一人だけ蕨を黙々と食べる子が。
「このヌメッとした食感と、歯ごたえと、ほろ苦いのが最高!!!」
と言って、どんぶり一杯ほど平らげました。
そんなに気に入っているならと、翌日も食卓においた蕨をつまんで食べていました。
アレルギー体質だと言っていた彼は、スッキリして帰って行きました。
蕨をそんなに食べる人を初めて見ましたが、きっとその子に蕨が必要で、体が無性に欲したのだと思います。
冬眠から明けた野生動物たちは、こぞって苦味のある野草や山菜を食べるといいます。
それは、体を目覚めさせるのと、冬眠前にたくさん食べて体にたまったものを排出するためではないかと言われています。
この子の体も何かに目覚めて、デトックスしたのかもしれません。
別の学校の子は、自家製の梅干しを心配になるくらい食べていった子もいました。
都会っ子でも、自分に必要なもの、体が欲するものは本能的にわかるものですね。
子供達がTHE KOKONOEの食を通じて何か新しい事を発見してもらえたのならば、そんな嬉しいことはありません。
もう初夏になりつつあります。
春の最後のデトックスにわらびも良いのかもしれません。
THE KOKONOE シェフ☽
【独特な食感の山菜】蕨
更新:2020/05/19