日本画「紫花豆」三作目のご紹介です。
マメ科インゲンマメ属の紫花豆は成長スピードが早く、半年で全長3mを軽々超える場合もあります。
次々に分けつする脇芽から旺盛なツルが育っていく様子には目を見張ります。
U字型のアーチ支柱に栽培ネットを張ってツルを這わせて育てていきますが、幅5mのネットを一株だけで占領してしまうほど強い勢いを持つ株も稀に存在します。
しかし、こんなにも強く生育するにも関わらず、多くのベテラン農家は紫花豆の栽培には化成肥料はほとんど使用せずとも育つと言います。
なぜでしょうか。
それは紫花豆の根圏に共生する根粒菌の働きが大きく関わっていると考えられます。
土壌中に存在する多種多様な菌のうち、紫花豆の生育過程で根の内部に侵入し、宿主である花豆と共役して根粒と呼ばれる小さな白い粒を形成し、このコロニーの中で増殖し、空気中の窒素を特殊な酵素を使い紫花豆が成長に活用できる状態に変換させる能力を持つ菌がいます。
一般的には窒素固定菌と機能名称で呼ばれていますが、正確にはProteobacteria(プロテオバクテリア)門に分類されるRhizobium(リゾビウム)属という土壌細菌が代表的です。
驚くほどの成長力の背景には根粒菌による窒素固定の働きが関わっています。
この現象を理解することが、紫花豆の高品質栽培の大切な要因の一つ考えており、同時に土壌内の細菌バランスと土づくりの条件も探究しています。
動植物を専門に描かれる栗原さんは、圃場で興味津々に根粒菌の話しと実際の根に形成されている根粒を確認してくださいました。
かなりマニアックなテーマでしたが、楽しく描いてくださったとのこと。
芸術家を目指さなければ生物学者を目指していたとおっしゃる栗原さんくらいしか日本画で根粒菌を描いてくださる方はいないのではと思います。
銅箔が使用され、経年変化も楽しめる極上な仕上がりとなっています。
THE KOKONOEのアースカラーも使って頂き、大変気に入っている作品。
玄関近くに飾ってありますので、ぜひご覧ください。
THE KOKONOE 代表☀
【紫花豆の日本画3】成長に関わる根粒菌
更新:2020/05/20