ハヤトウリをご存知でしょうか?
一般的な食材ではありませんが、長野の直売所などで販売されているのを見かけます。
洋梨のような形をしていますが、表面は凹凸があり、果物のようにも見えますが、瓜科の野菜です。
ハヤトウリは、ウリ科のハヤトウリ属で、原産は熱帯アメリカ地方です。
コロンブスの大航海時代にアジアやアフリカに紹介された植物の1つであり、日本には1917年に鹿児島を渡ってきたため、中心地の隼人町から隼人瓜(ハヤトウリ)と名付けられたそうです。
播種は4月末から5月半ば。
蔓が伸びてから花が咲くのは9月ごろで、収穫は10月以降になります。
蔓性の植物なので、きゅうり棚や使われなくなったハウスの骨組みに這わせて栽培しているのを見かけます。
また、とても旺盛に繁茂するため、1株で100個近く収穫できます。
戸隠でも紅葉シーズンの直売所で販売されているのを見かけますが、霜が当たってしまうと果実がダメになってしまうことが多いので、10月下旬から11月くらいまでの流通です。
ハヤトウリの90%は水分です。海外では、ビタミンCが豊富な食材として紹介されていることが多いのですが、他にミネラルも含有しており、主なものは以下になります。
成分 | 含有量 |
---|---|
カリウム | 17mg |
カルシウム | 12mg |
ビタミンC | 11mg |
マグネシウム | 10mg |
南国の植物らしいカリウムが多く含まれています。
カリウムは、利尿作用や血圧を下げる効果があるとのことなので、むくみや塩分を取りすぎたときに取り入れると良い食材になります。
ハヤトウリはりんごのようなシャキシャキの食感と淡白な味で、ほのかな甘味があります。
同じウリ科で、カボチャ属のズッキーニやペポカボチャと同じように、火を通して使うことが多いようです。
グリルもできますが、さっくりした歯応えを生かすならば、さっと火を通すのがよいでしょう。
生でも食用できるようですが、皮を剥いて使う場合は、粘り気のあるアクが出るので、一度水にさらして使います。
海外では、柑橘系を合わせ、サラダやサルサに使われることが多いようです。
アメリカ南部の伝統料理、クレオール料理ではグラタンの具材に、メキシコ料理はサルサなどの食材として使われています。長野では白瓜同様に粕漬け・ピクルスにすることが多いようです。
▶︎ハヤトウリを使ったレシピはこちら。
筑波⼤学卒業後、外資系メーカーにてプロダクトマネージメント業務に10年以上携わる。料理学校へ転職を機に、講師業を⾏う。2016年に⾧野県戸隠に移住し、化学農薬や化学肥料に頼らない農業を夫婦で実践。旬の野菜中⼼で滋味あふれる⾷事をTHE KOKONOEで提供。世界の発酵食・長野の郷土食を美味しく頂きながら研鑽に励む。