Kokonoe Green Library
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Bon voyage!

中村天風の全て

更新:2020/01/09

令和2年、新しい年号も2年目に入りました。

今年はオリンピックイヤーであり、ますます様々な分野において勢いが加速することでしょう。

新しいこと・発見・今までなかったことのイノベーションを今起こすことができるのは、先人たちが築いた基礎があってのことかもしれません。

また、世の中の流れとそれに伴うリーダーシップのあり方も変容してきているのではないかと思います。

とにかく速いスピードに追いついていかなければいけない昨今、そのリーダーが経済に与える影響や発信方法を含めた様々なテクニカル面でのアプローチもリーダーたる資質条件にあることでしょう。

では、戦中・戦後の何もない時代ではどうだったのでしょうか。

テレビもインターネットも何もない時代に、巨人と言われる人の巨人たる所以は一体何だったのでしょうか。

中村天風の著書で一番のベストセラーといえば、「運命を拓く」ですが、本書は明治から昭和にかけて活躍した巨人、中村天風の生涯が回想として記されたダイジェスト版です。


「巨人」は元チンピラだった!


中村天風はどのような人物なのでしょうか。

さすが、巨人ともなるとその人生は波乱万丈であまりにも濃く、ざっくりと紹介はできませんが以下です。

東京の名門一家に生まれましたが、少年時代は手のつけようのないくらいの悪童でした。
柔道の名門道場に通いますが、喧嘩に明け暮れ、結果的には1人の少年を殺めてしまいます。世でいう「人斬り天風」です。
しかし、これは正当防衛として認められ、無罪放免となりますが、道場は破門となってしまいます。

これに見かねた身内の口利きで、右翼の巨頭である頭山満の元に預けられました。

つまりは、ヤクザのようなところに弟子入りしたわけです。

血気盛んな若者が集められた中で、メキメキと頭角を表し、日露戦争の軍事探偵としてリクルートされ、諜報活動に従事することになりました。

いわゆる、スパイです。

ある時、ロシアのコサック兵にとらわれてしまい、死刑が宣告されました。
銃口が自分に向けられた時、とらわれる時に逃げた部下が爆弾を仕掛けてその場を逃げることができたという007さながらの活動をうかがい知ることができます。

ちなみに、113人諜報員のうち、日露戦争が終結して生き残ったのはたったの9人だったそうです。

諜報活動は一般人の私たちの想像を絶する「やるか、やられるか」の世界だったことでしょう。

天風自身も活動中に負傷し、片目は義眼、そして動かない指もあったとか。
しかし、普通の人にはそんなハンディは見抜けないほど、バイタリティがあったそうです。

そんな不死身の天風も日露戦争後、不治の病と言われた結核に侵されてしまいます。

救いを求めた医学や宗教からは救いを得られず、哲学者に会うために海外へ渡航するも結果は同じでした。

カイロで吐血してしまい、その場にいた見ず知らずの旅行者から、肺の病気のことを指摘されます。
「まだお前は気づいていないことがある。気づけば死なないですむだろう。」と言われ、その旅行者の訪問先であるヒマラヤのヨガ聖者カリアッパに一緒に会いについて行くことになります。

3年間悟りの修行を積んだ天風は、結核から復調し、日本に帰国します。

上野公園で「人間が人間らしく幸せに暮らすためには何が大切か」というようなことを自分の経験に基づき、面白おかしく話していたことが人々の目に止まり、時の総理大臣であった原敬に見出されます。

当時の日本の指導者層がメンバーであった丸の内日本倶楽部で講演を行ったことがきっかけで、多くの財界トップと関わりを持ち、様々な会社の経営に携わるようになります。

地位も名誉も手に入れ、花柳界で遊ぶ毎日ですが、心がどこかすっきりしない天風。

そんな時、妻から「あなたの経験を病に苦しむ人に話してやってほしい。」と頼まれ、小さな講演会を行いました。

自分のこれまでの体験を話し、それを聞く人が喜ぶ。天風は心のモヤモヤがなくなり、これまでにない喜びだったと言います。

そこから「天風会」を発足し、心身統一法の普及を始めました。

心身統一法は、クンバハカと呼吸法、瞑想などヨガ修行で学んだことでした。

今でこそヨガは日常的なものですが、それを初めて日本に紹介したのは中村天風と言っても過言ではないでしょう。

さて、その天風会はたちまち有名になり、政財界、スポーツ界、皇族、芸能界、医学界の指導的立場の人々を魅了し、世の中に役立つ指導者育成に務めることが天風のライフワークとなります。

天風会の門下生で有名な方といえば、松下幸之助・稲盛和夫・宇野千代ですが、本書では元巨人軍広岡達朗・元東武百貨店社長山中鏆・天風会会長杉山彦一らが天風のエピソードを語っています。


巨人・偉人に共通することとは?


巨人・偉人が言うことは「目から鱗」のことがたくさんあると思います。

中村天風は巨人も巨人、とてつもない不思議な力も持っていたという逸話を聞きます。

天風自身が書いている本もたくさんあり、様々な教訓があるのですが、本書に絞り、そこから読み取れるキーワードがありました。

面白いことに、それらのキーワードは、これまで私が学んだ恩師たちから聞いた言葉と多くの共通点がありました。

なぜなら、それはきっと、全ての根源が同じだからだと思います。

また、私の恩師を含め、指導者という立場にいる人は、必ずそれらを理解しているからこそ、指導者と言われるのだと思います。

本書をお詠みになると、様々な受け取り方があるかと思いますが、私的に見出した共通キーワードは4つです。

まず1つ目は、「宇宙」です。

本書では天風が「宇宙霊」という言葉を使っていることが紹介されています。「霊」はおばけ的なものではありません。それは、宇宙の根源主体であり、創造の根源であり、宇宙からの私たちに絶え間なく降り注いでいるエネルギーとその新陳代謝のことを指しています。結合と建設、分解と還元、メビウスのように繰り返される循環が宇宙の法則です。レイキ、アーユルヴェーダでも必ず出てくるワードです。

2つ目は、「感謝の気持ちを忘れない」です。

天風は「喜びを感じるから感謝するのではなく、感謝する心があるから喜びが生まれる」と言っていますが、本当にそうだと思います。どのような苦境に立たされても、感謝する心があれば、怒ることなく、いつも喜びの中にいられます。
現代人にありがちな、いつも心が満足せず、いつでも誰か他人が決めたパーフェクトなレールを目指して苦しくなるのは、今の自分のあり方に感謝の気持ちが薄れている証拠ではないでしょうか。

3つ目は、「人生は心一つである」です。

つまりは、全ては自分の心次第。
やろうと思えばやれるし、やれないと思えばやれない。辛いと思えば辛いし、楽しいと思えば楽しくなる。心配すれば、一生心配して暮らすことになり、心配ごとが絶えない。物事のスピードが早い現代で、先へ先へ急ぐばかりに取り越し苦労も多いように感じます。頭でっかちになりすぎず、心で決めて行動することも必要なのでしょうね。

最後は、「言霊を大切に」です。

天風は霊性を高めることの大切さを説いています。霊性については、ここではあえて詳しくは話しませんし、私もスペシャリストではないのですが^^;、なんとなくざっくり言うと命(魂)や精神性・人間性といったところでしょうか。それを高めることとして言霊が挙げられています。
自分が言う言葉は自分の潜在意識に入りやすい、言葉にすると実現しやすいという話は誰でも聞いたことがあると思います。心理学の観点からも効果があると言われています。逆に言うと、自分が使う言葉をポジティブにコントロールすることで、潜在意識もそのように変化するということです。
ですから、使う言葉によって、その人の品位がわかるわけで、その人の霊性もわかるということだと思います。
(自分で言って耳がいたいです。。。ははは。。。^^;)

本当に一生かけて叩き込まないといけないキーワードですね。。。

2020年も精進します!

(キッチン担当)

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