自然豊かな環境で、読書を楽しむひとときを。
農・食・文化・芸術・科学をメインに揃えたKokonoe Green Libraryの書籍をご紹介いたします。
店内の蔵書は自由にお読みいただくことができ、お気に入りの書籍のお持ち込みもOKです。
伏流水が流れ、雄大な山々に囲まれた里山で、自分だけのひと時をお過ごしください。
Bon voyage!
著者であるアリス・ウォータースさんをご存知でしょうか?
日本でも「アリスのおいしい革命」という番組が組まれたり、「食の革命家」や「オーガニック活動家」として世界で活躍されている有名な方です。
有名な理由としては、1971年に創業した米国カリフォルニア州バークレーのレストラン「シェ・パニース」をオープンし、オーガニック食材・地産地消をモットーとしたカリフォルニア料理を創り出した先駆者というところにあります。
今でこそオーガニックマーケット(オーガニック食材の産直・直売所)は一般的ですが、当時カリフォルニアでオーガニック(有機)栽培の農産物はほとんどなく、アリスさんが生産者とともにムーブメントを創り出しました。
表参道では、毎週末に国連前広場で青山ファーマーズマーケットが開催されており、各地のいたるところで週末にマーケットが開かれていると思いますが、その大元はアリスさんの活動にあると言って過言ではないでしょう。
もちろん、彼女自身も農業に携わり、荒れた学校の花壇で生徒とともに農作物を作る「エディブル・スクールヤードプロジェクト(食べられる校庭)」という活動を、世界中の教育機関とネットワークしながら勧められています。
この活動は、結果として学校の風紀が改善されただけではなく、生徒たちへの食育も兼ねたもので、日本では一般社団法人で活動をされています。
ちなみに、アリスさんは、オバマ大統領が就任中に、夫人であるミシェルさんのホワイトハウス内の有機菜園作りでアドバイザーを勤めていらっしゃいました。
そんな偉大なアリスさんのことを当時の私は存知あげず、本書を購入したのは2004-5年頃だったと思います。
きっかけはアマゾンで、 洋書の料理本(特に野菜料理)を検索して、1996年に出版された本書と出会いました。
アリスさんの著書といえば、2007年の初版「The Art of Simple Food」が有名で、その本では300種類を超えるシンプルかつ安全で美味しいオーガニック料理が紹介されています。
本書は、あくまでも野菜を中心としたレシピであり、野菜がアルファベット順で記載されています。まさに野菜の辞典で、野菜の特徴や、その野菜の美味しさを引き出すシンプルな調理法が紹介されています。
本書のタイトルにもある通り、アリスさんのレストラン「シェ・パニース」で提供し、数々のお客様を喜ばせたレシピになります。
日本の料理本のように、写真で手順や料理は説明されておらず、文章だけの記載です。
けれど、挿絵(版画)がとても美しいのです。
日本のスーパーでは売られていない野菜や、目からウロコのレシピがたくさん掲載されており、当時から野菜や農業に興味を持っていた私は、ページをめくるたびに新しい世界を冒険するようなワクワクした気持ちで読んでいました。
どうしても作ってみたかったもの。
本書で私がとても興味を惹かれた野菜があります。
それは、アーティチョークです。
パスタや前菜でちょこっとアーティチョークが使われているものを食べたことはありますが、そのもの自体をよく味わったことがないので、いつかきちんと食べてみたいと思っていました。
アーティチョークの和名はチョウセンアザミ。
食用にする部分は、アーティチョークハートといって、若い蕾の額の部分を食べます。
今は日本でも高級スーパーでアーティチョークを目にしますが、いつでもどこでも買えるものでもなく、なかなか値段も高い割に新鮮そうではないのが玉に瑕で、自分で料理をしたくても機会がない素材の1つでした。
本書では、アーティチョークとピンクグレープフルーツのサラダ(カリフォルニアらしいですね!)、グリルした若いアーティチョーク、アンチョビを詰めたアーティチョークの焼き物などのレシピが「アーティチョーク」の欄で紹介されています。
そんな夢を叶えるべく、移住した戸隠で3年目の昨年、やっとアーティチョークを育てることができました。
実は一昨年も種を植えたのですが、育苗で失敗し、昨年やっと定植までこぎつけました。
ただ、2年ほどしないと蕾は出ないそうで、今は霜や雪が降った畑で寒そうにしています❄️
この寒冷地で越冬するのかわからないのですが、今年の暖冬に期待して、 アーティチョークの蕾が春先に出てくることを願っています。
自分で作付けしたかった理由は、本書に書かれていたことに共感したからです。
Good food depends almost entirely on good ingredient.
良い食事は、ほぼ完全に良い素材に委ねられています。
その素材を見極める時、どんな種類で、どのように栽培されたか、いつ収穫されたか、キッチンに届くまでどのくらい時間がかかっているかが重要であり、調理する・味付けするということはそのうちのほんの一部でしかない、とも述べられています。
そして、良い素材を調達するには、可能であれば自分で栽培すること、もしくはファーマーズマーケットを支援すること、とありました。
アリスさんが、地産地消と地元のファーマーズマーケットにこだわって活動した理由がとてもよくわかりますよね。
私も東京で暮らしていた時は、室内のプランター栽培でゴーヤやミニトマトを大量に収穫した経験があるので(東南角部屋だったので。。。)、都会暮らしの方も、プランター栽培でも良いので一度は自家菜園してみるといろいろな気づきがあると思います✨
もし、ここのえの自家菜園でアーティチョークの収穫が出来たら、レストランでお出ししたいと思います^^
乞うご期待♫
(キッチン担当)
CHEZ PANISSE VEGETABLES
更新:2020/02/07