Kokonoe Green Library
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Bon voyage!

世界は食でつながっている

更新:2019/10/11

あなたと私は同じものを食べている


この本の著者はMADとなっていますが、これはデンマーク語で「食べ物」の意味です。

このMADは、コペンハーゲンで開催された食のシンポジウムの名前。

世界で一番予約が取れないレストラン、コペンハーゲンNomaのレネ・レゼピを筆頭に、食の業界に関連するの人々によるエッセイ集です。

英題は、You and I Eat the Sameで、直訳すると、あなたと私は同じものを食べている、になります。

本書では、「食」という切り口、「食べる」という行為によって結ばれた、国境を超えた世界共通のこと。

19人の食に関わる人々が綴った食のエッセイ集です。

日本人に馴染みの主食となる米ですが、タイのジャスミンライスがあれば、インドのバスマティ、アメリカ南部で育てられたカリフォルニア米、イタリアは意外と米処でルナローリ、アルボーリオ、ヴィアローネ・ナーノなど種類があります。

同じく、主食として食べられるパンも数が圧倒的に多く、世界に共通するものでもあります。

小麦などの様々な穀物の原材料から作られたフラットブレッド(平らなパン)は、世界中で多く食べられているものの1つ。

インドのナン・ドーサ・ロティ、中国の春餅、ベトナムのバインセオやバンチャン、メキシコのトルティーヤ、フランスのクレープ、中東のピタやサンガック、チュニジアのホブス・タブーナ、ベネズエラのアレパ、エチオピアのインジェラ、アイスランドのフラットカカ、ロシアのブリニ、日本でポピュラーなホットケーキや欧米でおなじみのパンケーキ等。

これらのフラットブレッドに共通した食べ方は何か?という切り口から、「食べる」という行為によって、人類が影響しあっていることがうかがい知れます。

共通した食の話は、このほかにもいくつかあり、「世界中の葉っぱで巻かれた蒸し物」や、「揚げた鶏肉(フライドチキン)は共通の土台である」などのお話です。

また、1つの料理が様々な国に渡り、独自の進化を遂げたもの、「カレー」の話や、

「食」を通じて、人権を得た移民女性のお話。

調理に欠かせない「火」のちょっと科学的なお話。

日本でもよく使われている「エスニック」の意味とは?

アメリカ料理とは何か?(←住んでいた時にもこれはよく思いました)

私的に、とても印象深かった内容の1つが、Nomaのレネのエッセイ、「この土地に根を下ろしたものは、この土地のもの」。

長年人種差別を受けてきた移民の彼が、Nomaでアイデンティティを得るまでの話。
彼のモットーである、調理は素材をその土地で自分の手で集めることの意味。
旅することが料理で必要な理由。
様々な人種で形成するチームワークの必要性。

等々とても勉強になる内容ばかりでした。

生きることは食べることですが、食べることは生きることだけではない、と感じた一冊

料理に関わる人、興味がある人でしたら、是非手にとっていただきたいです。

(キッチン担当)

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