自然豊かな環境で、読書を楽しむひとときを。
農・食・文化・芸術・科学をメインに揃えたKokonoe Green Libraryの書籍をご紹介いたします。
店内の蔵書は自由にお読みいただくことができ、お気に入りの書籍のお持ち込みもOKです。
伏流水が流れ、雄大な山々に囲まれた里山で、自分だけのひと時をお過ごしください。
Bon voyage!
TASCHENが出版する書籍は、写真が大変綺麗です。
私は「Living in ○○○(国・地域)」のシリーズが好きで、中でも日本の魅力を海外の研究者・専門家の視点でまとめられた本書ほど繰り返し手に取ったものは、他にありません。
ビジュアルが美しいため、文章を細かく読み込まずとも、眺めているだけで楽しい気持ちになります。
著者のアレックス・カー氏は、東洋文化の研究者で、中でも日本が大好きとのことです。
留学中にヒッチハイクで日本中の旅をしている時、徳島県祖谷に感銘を受け約300年前の茅葺き屋根の古民家を購入・修復し、居住されているほどだと言います。
これほど日本文化にどっぷりと浸った筆者の視点は、日本人以上に日本人が気づいていない魅力をまとめてくれている印象を持ちます。
囲炉裏、鹿威し、茅葺き屋根、石臼、唐箕、茣蓙、火鉢、高床式、源泉かけ流しの温泉、仏像、屏風、水琴窟、石庭、日本料理 etc,,,
筆者は雑誌AERAのインタビューで以下のように答えています。
外国人観光客が求めているものは、文化的な環境や田舎の風景です。欧米人は景色がきれいな田舎に慣れているので、それが当然だと思っています。それは日本の美しい田舎があれば、欧米の観光客は喜んで家族を連れていくはず。観光業は過疎が進む地方の救いになるでしょう。※AERA 2018年2月19日号より
何とも嬉しく、里山暮らしの魅力を再認識できる言葉です。
戸隠には、今でも茅葺き屋根の宿坊や古民家が現存しています。
▼戸隠神社奥社参道の随身門。茅葺き屋根に雪が積もると趣深くなります。
伝統工芸品である根曲がり竹を使った戸隠竹細工にも注目が集まっています。
若くして、昔ながらの暮らしの技法・知恵を継承していこうと努める頼もしい方も大勢います。
古くから続いてきた文化、大切に保存してきた建造物を、未来に良い形でバトンタッチしていこうと、地域住民の方々の意識が、年々高まっているような印象も受けます。
こうした意識をベースに、上手く外部に情報と魅力を発信していく工夫も必要だと思います。
本書を読んでいて、足元の宝物を知るためには、多様な人達と関わりを持ち、価値観を共有することが大切であると、改めて気づかされました。
(ここのえ店主)
Living in Japan
更新:2019/03/01